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モンガク谷ワイナリー
Mongaku Valley Winery モンガク谷ワイナリー
北海道 余市町の「モンガク谷ワイナリー」は、醸造用ブドウの栽培からワインの醸造・販売まで一貫して取り組んでいます。美しく立ち並ぶワインの樹や、セミセルフビルドの家や醸造蔵、恵み豊かな森、海と山々が一緒に見える丘…まるで絵本の中から飛び出してきたようなワイナリー。
モンガク谷ワイナリーでは、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ソーヴィニヨンブランなど7品種の醸造用ブドウを出来る限り自然に栽培。最初は、驚くほど収量が上がらず大苦戦。安全で安心できるブドウ作りを目指し、栽培方法の見直しをする中で、少しずつ収穫できるまでになりました。自家栽培したブドウは、野生酵母で混醸し、昔ながらの製法でワインづくりを行っています。
《 混醸 》
原料は、モンガク谷ワイナリーで栽培した醸造用ブドウを100%使用。複数のブドウ品種を一緒に仕込み、ブドウの果皮に住む野生酵母で醸造しています。非常に繊細でデリケートなワインですが、適した環境で熟成させることで複雑さと深みが増していきます。
《 野生酵母 》
酵母によるブドウ果汁のアルコール発酵によりワインが出来上がります。発酵過程において、より多様な酵母の働きによって複雑な味わいと香りを引き出すことを目指しています。
《 自然でおいしい製法 》
私たちは自然の恵みを受け取り、ワインづくりを行なっています。だからこそ“エコでやさしいワイナリー”として自然環境にも配慮した醸造に取り組んでいます。醸造蔵では「グラヴィティー・フロー・システム」を採用し、重力を利用して果汁やワインを移動させる設計に。絞り果汁に対する刺激を少なくすることで繊細な個性を引き出すエコな醸造に取り組んでいます。
私たちは、この地にワイナリーを作ろうと決めた時、「札幌軟石の醸造蔵を作る」という夢を持っていました。それは、遠い昔から大切にされてきた自然素材を守り続けたいという気持ちと、素材の持つ断熱性を生かした半地下の醸造蔵を作りたいという想いがあったからです。やっと出会えた築100年近い札幌軟石の蔵はていねいに移築し、「醸造蔵」として新しい歴史を刻み始めました。
モンガク谷ワイナリーでワインづくりを行う私たち家族は、元々、大都市で暮らしていました。子どもが生まれたことをきっかけに、「もっと相手の顔の見える関係の中で、食や暮らしを考えていきたい」という想いが日々強くなり、北海道余市町へ移住。夫婦でブドウやワインづくりをしながら、子どもたちは野山を駆け回り、虫や動物と戯れ、時に家族総出でブドウの収穫をしています。とにかく自然が大好きな木原ファミリーです。
一番最初に余市を訪れた時は、まだ原野だったモンガク谷。道なき道を進み、小高い丘の上に登ると、うっそうと茂る森の向こうにはかすかに海が見えました。穏やかなやさしい風がそよそよと?をなで、ふと見上げると、雄大な山々に囲まれていました。その時、「なんて素晴らしい場所だろう」と心がうずきました。そこから時間はかかりましたが、森を切り拓き、水路を整備し、海が見えるブドウ畑を作りました。夏から秋にかけても朝晩の寒暖差があることで、ブドウに適度な負荷がかかり、冷涼産地のブドウの持つ味わいを最高の状態に引き出してくれます。これからは、もっとワインを楽しんでいただく中で、この美しい余市の景色や自然、ワイナリーの様子も体験していただける計画も進行中です。
余市町登町モンガク谷と呼ばれる地区に新たなるワイナリーが誕生しました。2012年に入植『余市のぼりんファーム』として自然な葡萄栽培を実践している木原茂明さんです。全く異業種からの就農ですが、その志、感性、エコ意識の高さは自然な生産者になるべくしてなったという印象。自分で出来ることは自分で賄う、ご自宅もワイナリーも全てがセルフビルドなのだとか。
ご自宅の見事な柱は近所に植わっていた樹齢の古いタモの木を材料に、ワイナリーや自宅周辺の石垣は畑を掘って出てきたものなのだそう。畑を掘ると色々な種類の石が出てくるそうで、何と縄文時代の黒曜石で出来た鏃も出土するそうです。隣の赤井川村は黒曜石の原産地、木原さんの所有する畑の頂上には太古の時代に作られたストーンサークルの遺跡が。そう、縄文時代の人々は赤井川の黒曜石で鏃を作り、このストーンサークル(祭壇)に装飾をしていたのかもしれません。古(いにしえ)の時代から、このモンガク谷は今でいうパワースポット、当時の祭祀だった証だと思います。
余市の町が一望出来る素晴らしいロケーション。左の木々の向こう側にストーンサークル跡が。登町でも最南端にあるモンガク谷ワイナリー、他のワイナリーが標高50m前後であるのに対しここは標高140m。その高低差以上に気温、霧、積雪量さえもが如実に違うのだとか。美しい酸が特徴のワインは、こうしたミクロクリマがもたらす恩恵と言えるでしょう。
2018年は春の長雨による影響で花ぶるいや灰色かび病がかつてないほど深刻な状況となりました。収量は7割減を覚悟していると語る木原さん。もし自分が同じ立場だったとしたら、きっと立ち直れないかも・・。自然と対峙することの大変さが心の奥にズシリと響きました。
90年前に建造された呉服屋さんの蔵を解体し浦臼町から移築したワイナリー(札幌軟石)は10月から始動予定です。2017年ヴィンテージはもうすぐ瓶詰めとのこと。リリースが待ち遠しい!(2018年7月ワイナリー訪問時レポートより)