Cosmic Vinyaters コスミック・ヴィニャテーズ
フランス国境から100kmも離れていない山の中。アグヤーナ村で2013年からワイン造りを始めたサルヴァドール・バットヤ・バラベッチュ。
出身はカヴァで有名なスペインのペネデス。家族は今でもペネデスでブドウ栽培をしているが、両親とは哲学が合わず独立。現在はアグヤーナ村で絶滅しつつある品種の、カリニャン・ブランコとカリニャン・グリを栽培している。
土着品種は先祖たちの知恵の結晶であり、土地の遺産であると考えるサルヴァ。テロワールには土壌や気候などの物理的な要素があるのはもちろん、「文化」という概念も含まれていると主張する。山の地形によって、ここには常に内陸から来る乾燥した風「トラモンターニュ」が強く吹き、年間の湿度も高い。どんなブドウでもここで栽培すると南仏よりも自然に酸が上がってフレッシュに出来上がる。「酸」を大切にしている彼にとっては最高の場所。
完璧主義者でストイックなこだわりがありながら、純粋でやさしいサルヴァをそのまま表しているワインたち。正確さとこれ以上ない澄み切った酸を持つ彼のワインは開くのに少々時間がかかるが、熟成が進むにつれて鋭い酸と優しい果実味が絡み合い素晴らしいアロマと旨みをみせてくれるだろう。
ブドウも、造りも、人間も「時」に支配されている。ラングロールのエリックに「ワインをうまく造れるようになるまで8年はかかる」と言われた。「自分は2013年スタート、まだまだこれから...!」自分は何年でどこまで行けるだろうか?と遠くのさらに先を見つめていた。
幼いころからブドウ畑の中で育ち、ワインを造るようになったのは必然なサルヴァドール。同時に天文学や宇宙にも興味深く、自然や宇宙のエネルギーの大切さなどにとても敏感だ。ブドウの栽培はもちろんビオディナミ。標高600mの畑、ユカトーの真ん中にある岩の上で瞑想することもたびたび。スピリチュアルな面を持つのも彼の魅力の一つだ。