パッシート(甘口)・500ml
ズィビッボ(モスカート)100%
ブックラム(アラブ語で“ブドウ畑の父”の意)は彼らが1980年頃に購入した、南西向きの標高200mの区画で、ここは島で南西に露出している唯一の高原。同じパンテッレリーア島の造り手である、フェッランデスの畑が島の南東、海沿いにある段々畑なのに対して、ブックラムは比較的、平地にある畑。西向きの斜面であることも影響しているのか、液体からはより太陽を感じさせる、凝縮感の高いブドウで仕込まれていることが伺えます。これは、彼らがパンテッレリーア島で行うズィビッボの収穫時期も影響しています。収穫は、8月の第2週に始まりますが、このタイミングでは全体の半分のみ収穫を行い、3週間ほど天日干しします。そして、残りのブドウは、9月の初めまで樹上にならせたままにしておき、収穫を行っているのです。そうすることで、より複雑な、酸度と糖度を両立したパッシートが生まれます。そして、熟成は通常であれば、フレンチオーク樽で30か月間、ステンレスタンクで6か月間行い、ボトリングされますが、この2000年はパッシートの可能性を探るべく、10年間の樽熟成を経てボトリングされた、スペシャルすぎるもの。しかし彼らのセラーにはこれをはるかに上回る20年以上樽熟成中のものがあるようです。先述したフェッランデスの造る、パッシートの2008年は同じように10年間の熟成を経てボトリングされていますが、このワインとは全く毛色が異なります。もちろんヴィンテージも異なりますし、熟成容器も、収穫時期も異なります。(フェッランデスはステンレスタンクのみ)ですが、それらの要素を考慮しても、このワインの、濃密で、まるで香辛料を浸しこんだような鮮烈な香りを感じてしまうと、このブックラムという土地と造り手の凄みのようなものに只々圧倒されます。(もちろん、どちらも異なるベクトルで素晴らしいです!)